カリフォルニアの木と言ったら、何が思い浮かぶでしょうか?
椰子の木!
ロサンゼルスのイメージですね^^、青い空と海に映える、背の高い椰子の木。
カリフォルニア!って気がしますよね。
カリフォルニアのイメージそのものだから、州の木(州木)も椰子の木?
いえ、それが全然違う木なんです。
この記事では、
- カリフォルニア州の州木は2つ、なぜ2つ?
- 世界一の州木が見られる国立公園
- その他、椰子の木などカリフォルニアで見られる木
をご紹介します。
カリフォルニアの州木
カリフォルニアの州木の1つは、コースト・レッドウッドです。
1937年に公式となりました。
ヒノキ科セコイア属、日本ではセコイアと呼ばれています。
もうひとつは、同じセコイアのジャイアント・セコイアです。
日本ではセコイアデンドロンと呼ばれています。
どちらもセコイア??
ややこしいので、2つの特徴を表にまとめてみました。
コースト・レッドウッド | ジャイアント・セコイア | |
---|---|---|
日本名 | セコイア | セコイアデンドロン |
学名 | Sequoia sempervirens | Sequoiadendron giganteum |
米国での別名 | ・レッドウッド ・カリフォルニア・レッドウッド ・パシフィック・レッドウッド | ・ビッグツリー ・セコイア ・シエラ・レッドウッド |
分類 | ヒノキ科セコイア属 | ヒノキ科セコイアデンドロン属 |
名前の由来 | 19世紀のインディアンの賢人から | 20世紀の植物学者ジョン・T・ブッフホルツ命名 |
自生地 | アメリカ西海岸の海岸山脈 | アメリカ西海岸のシエラネヴァダ山脈の高地 |
主な国立公園 | レッドウッド国立・州立公園 | セコイア国立公園 |
樹高 | 平均80メートル | 80メートル以上 |
樹齢 | 400〜1300年 | 1000年以上 |
最高樹齢 | 2200年 | 3200年 |
日本名は分類に則したものなのに、アメリカではごっちゃになっている感じですね。
実はこれ、カリフォルニアの州木が2つあることとも関係しています。
州木が2つあるのは何故?
1930年代半ばに盛り上がった州木の選定は、1937年4月3日に州議会でレッドウッド(コースト・レッドウッドの別名)が可決されて終わりました。
選んだ理由は、世界中のどの木よりも高く成長し、州内で広く分布していたからです。
ところで可決された際、特定の種ではなく、単に自生のレッドウッドとしました。
これが後に混乱を生みました。
自生のレッドウッドって、正確には何??
実際、カリフォルニア原産のレッドウッドは2種類あったのです。
そう、コースト・レッドウッドとジャイアント・セコイアです。
分類で言うと、コースト・レッドウッドはセコイア属、ジャイアント・セコイアはセコイアデンドロン属で、別のものなんですね。
でもジャイアント・セコイアは最初はセコイア属でした。
正しい分類がされたのは1939年なので、州木が可決された1937年に同じものと判断したのは、仕方のないことかも知れません。
1951年、カリフォルニア州司法長官は両種が公式の州木にふさわしいと判断しました。
そして1953年、州議会は法を明確にするために修正を行いました。
その内容は、
コースト・レッドウッドとジャイアント・セコイアの両方を公式の州木にする
というものでした。
こうしたことから、アメリカでの別名は未だにレッドウッド、セコイアが混じったようになっています。
2つは分類では別ですが、樹高が高く、樹齢が長いという大きな特徴は同じ!
素人目には区別も付きにくいし、双方がカリフォルニアの州木に選ばれたのは納得です。
続いて、こんな巨木が見られる場所のご紹介です。
州木が見られるところは?
表にもあったレッドウッド国立・州立公園とセコイア国立公園の他、サンフランシスコに近い国定公園でも手軽に楽しむことができます。
レッドウッド国立・州立公園
レッドウッド国立・州立公園(Redwood National and State Parks)はカリフォルニア州の北にあり、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
広さは約139,000エーカー(約560平方キロメートル)で、映画『スター・ウォーズ』のロケ地に使われたこともあります。
ナショナルジオグラフィックで公園の様子がよく分かる動画がありました。
巨木と夜空の風景がとても綺麗です。
海岸山脈なので海も映っています。
場所はサンフランシスコから北に約325マイル(523 km)、車で約6時間です。
約50マイル(80 km)もの長さがある公園は、北はオレゴン州の国境近くのクレセントシティから、南はオリックの南にあるレッドウッドクリーク流域まで広がっています。
セコイア国立公園
セコイア国立公園(Sequoia National Park)はカリフォルニア州の中央、シエラネバダ山脈の南部にあります。
広さは約404,000エーカー(約1,635平方キロメートル)で、約13,000フィート(約3,962.4メートル)の高低差があります。
見所は、世界でいちばん大きな生体と言われるシャーマン将軍の木。
直径11.1メートル、樹高83.8メートルのジャイアント・セコイアの巨木です。
倒れた巨木にトンネルを掘り、車が通れるトンネル・ログ。
トンネルの幅は5.2メートル、高さは2.4メートルもあります。
見所2つも紹介されている動画がありました。
展望台や滝など、巨木以外にもぜひ行ってみたいところが満載です。
場所はロサンゼルスから北に、サンフランシスコから南西に約200マイル(320 km)、どちらも車で約4時間です。
ミュアウッズ国定公園
ミュアウッズ国定公園(Muir Woods National Monument)はサンフランシスコの北、ゴールデンゲートブリッジを渡った先にあります。
広さは約554エーカー(約2.24平方キロメートル)と小さいですが、サンフランシスコ湾岸に残っている数少ないコースト・レッドウッドの森です。
私もミュアウッズ国定公園に行ったことがありますが、80メートル級の背の高い巨木ばかりのトレイルは、感動的でした。
塗装されているトレイルもあるので、ベビーカーや車椅子でも大丈夫です!
80メートルはビルの25階くらいに相当します。
ひっくり返るくらい見上げないと、天辺が見えません!
日陰となった森の中、見えるのは太い幹ばかり、が印象に残っています。
場所はゴールデンゲートブリッジを超えて車で小一時間です。
早く行かないと駐車スペース確保が難しい人気エリアです。
1700年代半ばには、8000平方キロメートルを覆うほどにあったコースト・レッドウッドですが、96%が木材などに伐採され、今残っているのはわずか4%です。
(インディアンの作るトーテムポールの原材料でもあります。建立のピークは19世紀でした。)そして残った4%の95%は、今は公園と保護区の中で守られています。
現在、コースト・レッドウッドを伐採することは禁止です。おかげで、1900年代の開拓時代よりも増えているそうです。
参考:California Redwood
California State Tree
カリフォルニア州は南北に長い州で、しかも日本がすっぽり入ってしまう大きさです。
南のロサンゼルスと北のサンフランシスコでは気候も変わります。
次は州木以外の木についてのお話です。
カリフォルニアの木
カリフォルニアにもいろいろな木がありますが、代表して次の3種について、順にご紹介します。
- 椰子の木
- ジョシュア・ツリー
- モントレーイトスギ
椰子の木(Palm tree)
写真はビバリー・ヒルズの道路に並ぶ椰子の木です。
背が高く、落ちて怪我をすることがないよう実が出来ないのが特徴です。
ロサンゼルスの椰子の木は、1932年のロサンゼルスオリンピックの美化プロジェクトで植林されたものです。
道理で綺麗に並んでいるはずですね!
すっかり象徴となっている椰子の木ですが、老年期に入るものが多く、存亡の危機にあります。
そして植え替えの予定は無いそうです。
気候変動により都市の気温が上昇傾向にあるため、もっと日陰を作れる、水をあまり必要としない種を代わりに植えるとのこと。
最も外観を気にする一部エリア(ハリウッドなど)は、椰子の木の植林を続けるとのことなので、観光地の見た目が極端に変わることは少ないと思われます。
カリフォルニアはとても乾燥していて、雨は基本、雨季にしか降らないので、植物を枯らさないために毎日スプリンクラーによる水撒きが欠かせない場所なのです。
日本でもカリフォルニアスタイルの庭を目指して、自宅に椰子の木を植える方も多いです。
青々とした芝生に椰子の木をシンボルツリーとして植えれば、カリフォルニアの風が感じられる爽やかさ^^
生木はちょっと…という方や室内には、人工観葉植物(造木)もオススメ。
会社のロビーや、お店だと、こちらを利用されるのが一般的みたいです。
やはり椰子の木はカリフォルニア西海岸のイメージですね。
参考:Los Angeles’ legendary palm trees are dying – and few will be replaced
ジョシュア・ツリー(Joshua Tree)
くねくねと枝が曲がったジョシュア・ツリーは、ロサンゼルスから東へ車で2時間、砂漠地帯にあるジョシュア・ツリー国立公園で観ることができます。
カリフォルニアは内陸部になると、乾燥と気温差の激しいこんな砂漠もあります。
岩の形も変わっていて、まるで別の惑星みたいですね。
※アイルランドのロックバンド、U2のアルバム『ヨシュア・トゥリー(The Joshua Tree)』はこの木がタイトルです。
モントレーイトスギ(Monterey cypress)
モントレーイトスギはカリフォルニアの中央海岸、夏は霧が多く湿潤、冬が穏やかな場所に自生するヒノキの一種です。
夏が暑いところや、カリフォルニアの内部に植えられると、病気になって数年も生きられません。
サンフランシスコから車で約2時間のところにあるカーメル・バイ・ザ・シー近くの、
- ゴルフで有名なペブルビーチのサイプレスポイント
- ポイントロボス州立保護区
の2か所で見ることができます。
私もペブルビーチに行った時に見ましたが、こんな海の側で育っていけるなんてスゴイなあと思いました。
気候が合っていたのですね^^
まとめ
カリフォルニアの木と言えば?世界一巨大な州木と代表的な3種を紹介、いかがでしたでしょうか。
- カリフォルニア州の州木は2つ、コースト・レッドウッドとジャイアント・セコイア
- 1937年に公式となった時は2種類あると分からず、自生のレッドウッドとしていた
- 州木が見られるところは国立公園
- レッドウッド国立・州立公園、セコイア国立公園の他、ミュアウッズ国定公園など
- カリフォルニアを代表する木として
- 植林されたロサンゼルスの椰子の木
- 砂漠地帯のジョシュア・ツリー
- 中央沿岸に自生するモントレーイトスギ
をご紹介しました。
レッドウッドが2種類あったとは知りませんでした。
ジャイアント・セコイアは見たことがないので、ぜひ国立公園に行ってみたいです。
椰子の木の寿命が近いというのにもビックリ!
あの外観はぜひ残して欲しいですね…。