アメリカに貴族や王族っていないよね?
私もそう思っていました。
しかしアメリカには「オールド・マネー(old money)」と呼ばれる上流階級の人々。
事実上の「貴族」と呼ばれる人たちがいます。
オールド・マネー?
古いお金って、どんな人たち??
アメリカ人なら、名前を聞けば分かってしまう「貴族」のような人々。
この記事では、
- オールド・マネーとは、どういう人々?
- アメリカ貴族の苗字と事業
- 今の生活は?
をお送りします。
オールド・マネー(old money)とは?
オールド・マネー(old money)とは、何世代も続く上流階級の人々、またはその相続財産のことをいいます。
オールド・マネーは、揺るぎない大富豪です。
短い期間でお金持ちになった「成金」とは、正反対の言葉ですね。
アメリカは、歴史的に正式な貴族階級がない社会です。
しかし、何世代にも渡って富を維持している「オールド・マネー」は、事実上の「貴族」の一員である、と見なされることが多いです。
人類学者のW.ロイドワーナーによれば、1930年代のアメリカの上流階級は、上層階級と下層階級に分けられていました。
下層階級は、伝統的に裕福な家系でない人々。
彼らは相続よりも、父親が行商人だったジョン・ロックフェラーのように、投資と事業でお金を稼いでいました。
そんなにわか成金とは対照的に、上層階級は、相続により富を得て、「準貴族」「上流社会の人」と見なされた人々でした。
彼らの祖先が大農園主、商人、奴隷商人、船主、毛皮商人として富を蓄えた革命以前から、何世代にも渡ってアメリカの政治においても主要だった人々です。
うむむ、なんか庶民としては、非常に心苦しい説明です。
自力で稼いだロックフェラー氏の方がずっと素晴らしく思えちゃいますけどね。
下流階級の僻みでしょうか^^;
バージニア州、メリーランド州、カロライナ州出身のオールド・マネーは、多くの場合、植民地時代に開拓者へ与えられた広大な土地だったり、政府から祖先に与えられた土地が、富の源となっています。
そういう時代、だったのですね。
危険な冒険でもあり、幸運でもあったのでしょう。
それでは、オールド・マネーと呼ばれる人々の苗字と、どんな事業を行っていたのかを見てみましょう。
アメリカ貴族の苗字一覧
アメリカの「貴族」ともいわれるオールド・マネーは、アメリカ合衆国建国の父、ジョージ・ワシントンを含む、数多くの大統領も生み出しています。
ここでは次の8ファミリーをご紹介します。
どこからやって来たのか、何をして財を成したのか、子孫にはどんな著名人がいるかなど、知られざる歴史も織り交ぜてお伝えします。
- ランドルフ(Randolph)
- ハリソン(Harrison)
- ルーズベルト(Roosevelt)
- キャボット(Cabot)
- ローウェル(Lowell)
- デュポン(Du Pont)
- フォーブス(Forbes)
- アスター(Astor)
ランドルフ(Randolph)
ランドルフ家は、アメリカの植民地開拓者、ウィリアム・ランドルフの子孫です。
ランドルフは商人であり、また農園主として2万エーカー(81平方キロメートル)以上の土地を保有していました。
1669年から1673年の間にバージニアに到着し、数年後にメアリー・イシャムと結婚。
イギリス領植民地だったバージニアの歴史と統治において、重要な役割を果たしました。
ランドルフの子孫には、
- トーマス・ジェファーソン(第3代アメリカ合衆国大統領)
- ジョン・マーシャル(第4代連邦最高裁判所長官)
- ロバート・E・リー(南北戦争の名将)
- ペイトン・ランドルフ(植民地時代の初代大陸会議議長)
- エドモンド・ランドルフ(初代アメリカ合衆国司法長官)
など、多数の著名なアメリカ人がいます。
またディズニーの映画で有名なポカホンタスも、ランドルフ家と関係があります。
政治家のジョージ・ランドルフは、ポカホンタスの子孫でもあります。
ハリソン(Harrison)
ハリソン家は、1630年にバージニアの植民地にやって来ました。
タバコ農園を営み裕福になり、ジェームズ川沿いに何千エーカーもの土地を保有していました。
家族は2世紀以上に渡って、バージニアとアメリカの政界で活躍しました。
ハリソン家出身の著名な人々は、
- ベンジャミン・ハリソン5世(政治家)
- ウィリアム・ハリソン(第9代アメリカ合衆国大統領)
- エイブラハム・リンカーン(第16代アメリカ合衆国大統領)
- ベンジャミン・ハリソン(第23代アメリカ合衆国大統領)
- J・ハートウェル・ハリソン(初めて臓器移植をした外科医)
などがいます。
初代ハリソンは北欧のバイキングで、イングランド王であるクヌート1世と共にイングランドに来たと言われています。
また名前の由来は、「Harryson」ハリーの息子(son of Harry)です。
ルーズベルト(Roosevelt)
ルーズベルト家は、クラウス・フォン・ローゼンベルツ(Claes van Rosenvelt)が入植者としてオランダからマンハッタンへやって来たことから始まりました。
2代目である息子ニコラスが、ルーズベルト(Roosevelt)の綴りを最初に使った人物です。
後にルーズベルト家は政界で活躍するようになり、ご存知、
- セオドア・ルーズベルト(第26代アメリカ合衆国大統領)
- フランクリン・ルーズベルト(第32代アメリカ合衆国大統領)
を生み出しました。
※余談ですが、ルーズベルトは人気の高い大統領です。
キャボット(Cabot)
キャボット家は、1700年にイギリスとフランスの間にあるジャージー島から、マサチューセッツのセーレムに到着しました。
それ以前にも、イタリアで探検家だったキャボット家の親子がアメリカに来ていますが、移住はしていません。
ジョン・キャボットと息子のジョゼフが、アヘン、ラム酒、奴隷を運ぶ運送業で大成功を収め、富を蓄えました。
そしてゴッドフリー・ローウェル・キャボットが21歳の時、国内最大のカーボンブラックの生産会社である、
キャボット・コーポレーション
を立ち上げました。
キャボット・コーポレーションは、現在20カ国以上に36の製造工場、8つの研究開発施設、28の営業所を展開する大企業です。
ローウェル(Lowell)
ローウェル家は、ボストンの入植者の子孫です。
フランシス・キャボット・ローウェルは、運送業とその後、木綿糸・織布で大成功を収めました。
ハーバード大学で24年間、学長を務めたアボット・ローレンス・ローウェルなど、注目に値する人物が多くいます。
ローウェルの綴りは、最初は「Lowle」でしたが、移住して数世代後に「Lowell」になりました。
※キャボット家とローウェル家は親族です。
デュポン(Du Pont)
デュポン家は、ピエール=サミュエル・デュ・ポン・ド・ヌムールがフランス革命で家族と共にアメリカに亡命したことが始まりです。
トーマス・ジェファーソン大統領の後ろ盾を得て、火薬製造工場を作り、アメリカ南北戦争で巨額の富を築きました。
第一次世界大戦では、デュポン家がアメリカの火薬のすべてを生産しています。
第二次世界大戦では原爆製造も行い、軍需品で富を得ることから「死の商人」とも呼ばれています。
レイヨン、ナイロン、プラスティックなど新しい化学製品も開発し、化学工業全般へと拡大、デュポン家はアメリカ最大の富豪と言われています。
その一方で、金メダリストを殺害して有罪になった人もいます。
ジョン・デュポンのこの事件は、『フォックスキャッチャー』のタイトルで映画化され、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。
フォーブス(Forbes)
フォーブス家は、マサチューセッツ州ボストンで有名な富豪です。
フォーブス家の最初のメンバーは1763年に植民地へやってきた聖職者でした。
しかし19世紀に北米と中国間でアヘンとお茶の貿易を行なったことに加え、鉄道業界やその他への投資で、富を築きました。
200年間に渡り、安定した裕福な生活を送っています。
※フォーブス家とキャボット家は親族です。
アスター(Astor)
アスター家は、ジョン・ジェイコブ・アスターが1783年にドイツ移民としてアメリカに移住したことから始まりました。
毛皮取引を始め、事業を大きく拡大し、ニューヨークへの不動産への投資も行い、莫大な利益を上げました。
その後、ホテル業界や、その他への投資を通じて、一代で財を築きました。
また彼は競馬が大好きで、1788年にイギリスからアメリカへ連れてこられたメッセンジャーという名のサラブレッドを購入しました。
メッセンジャーは、アメリカの全てのスタンダードブレッドの基礎種牡馬となりました。
イギリスに帰化した子孫は、貴族の爵位を与えられていて、本物の貴族、子爵家と男爵家が存在します。
それでは最後に、オールド・マネー達の今の生活はどんな風なのか?を見てみます。
興味ありますよね!
アメリカ貴族の今の生活
オールド・マネーの習慣、という記事がありました。
今の生活がよく分かると思いますので、箇条書きで簡単に訳してみます。
オールド・マネーは、
- 家は大きいかも知れないが、生垣やレンガの壁で道路からは隠されている
道路から家が見えてはいけない - 公共への奉仕は、財産相続に伴う義務だと考えている
彼ら流の恩返しの仕方 - 芸術や文化施設への寄付、支援は富に伴う義務だと考えている
- 投資は、資本保全のため、次の世代の家族の富のため
- 富について話すことは、好まない
避けられるなら、話すことは決してない - 車は移動手段、注目を集める意図はない
維持できるなら、乗り続ける - 家の装飾は、年代物の家具に満足
- 洋服は時間の経過と共に馴染む、良い品質の物を所持
デザイナーズアイテムは、昔のものが多い - いくら支払ったかは、決して話さない
高価には文句を言うかも知れない - 旅行は、あらゆるところへ行く
でも最近はそうでもないかも知れない - 友人は面白く、何かの専門家と友達になる
そして友人が苦労したり、評判が落ちても、縁を切ることはない
以上です。
すごく良い人でしたね。
金持ち喧嘩せず、という言葉を思い出しました。
参考:
Old money
How Old Money and New Money habits differ
まとめ
アメリカで貴族の苗字とは?上流階級の人々の知られざる歴史と今、いかがでしたでしょうか。
- オールド・マネー(old money)とは、何世代も続く上流階級の人々、またはその相続財産のこと
- 歴史的に正式な貴族階級がないアメリカは、彼らを事実上の「貴族」と見なすことが多い
- 1930年代のアメリカの上流階級は、上層階級と下層階級に分けられていた
- 下層階級は、伝統的に裕福な家系でない人々
- バージニア州、メリーランド州、カロライナ州出身のオールド・マネーは、広大な土地が富の源という場合が多い
- アメリカの政治においても主要で、数多くの大統領も生み出している
- 苗字の代表として、ランドルフ、ハリソン、ルーズベルト、キャボット、ローウェルなど
- 今の生活は、派手ではなく、寄付や奉仕は相続に伴う義務と考えている
でした。
最初はなんか、一生懸命稼いでる人の方がエライじゃん!という気持ちでしたが、最後は、良い人じゃん、ひたすら羨ましい〜、になりました(笑)
それに初代が稼いだ結果のファミリーもいましたよね。
下層階級と言われた人達も、200年経てばオールド・マネーです。(維持できれば。)
うん、次に生まれ変わる時は、ぜひオールド・マネーになりたいですね(笑)
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