トランプ大統領は、オバマケア廃止を公約としていました。
「代替案を可決させる」と以前から頑張っていましたが、なかなか難しいようで、オバマケアは今もあります。
でも、オバマケアっていったいどういうもの?
だいたい、こんなもの?と思っていても、今さら聞けない、オバマケア。
- どうして批判されているのか?
- なぜ、うまくいっていないのか?
ここが問題点!というところを、アメリカ在住の私がお伝えします。
医療保険制度改革法(オバマケア)とは
オバマケアは、2014年1月から始まりました。
日本は、当たり前のように、皆、保険を持っています。
だから病気をしたり、怪我をすれば、保険証を持って、病院へ行くことができます。
これを「国民皆保険制度」といいます。
アメリカには、この制度がありません。
保険は、職場を通して契約するか、自分で民間の医療保険会社と契約しなくてはいけません。
公的保険もありますが、入れるのは限られた人たちだけです。
公的保険:
メディケア(65歳以上の高齢者、障害者)
メディケイド(低所得者)
なので、失業などでお金に余裕のない人達は、一時的に保険に入らないで生活する、なんてこともよくあることでした。
若くて、健康に自信があれば、病院に行くことはあまりなかったりしますからね。
アメリカの医療費についてもっと詳しく↓
オバマケア施行前は、無保険状態の人が、4900万人(全国民の16%)くらいいました。
それを変えようとしたのがオバマ大統領でした。
オバマケアの施行により、
メディケイド(低所得者用)の加入対象者の範囲が拡大
→ 公的保険に入れる人が増えました
低所得者は開設された医療保健所での保険加入により補助金支給
→ 新しく保険加入者が増えました
アメリカ国民・永住権保持者・労働ビザを持つ外国人への医療保険加入の義務付け
加入しない場合は罰金
→ 新しく保険加入者が増えました
おかげで、無保険者は2900万人にまで減りました。
スゴイね、オバマケア!
大成功だ!!
となりそうなのですが…。
オバマケア廃止の声が高まっています。
いったい、何故なのでしょうか?
オバマケアで保険料はどう変わったか?
いわゆる低所得者の人達、今まで保険に入れなかった人達は、オバマケアを歓迎しています。
オバマケアのおかげで病院へ行けるようになった!
オバマケアがなくなったら、薬を買うことができない。
死ねというのか
とTVで話しているのを見ました。
なるほど、と思いました。
でも自分達で保険に入っていた中間層の人達は…、負担が増えたという声が多いです。
それはそうですね、誰かが代わりに負担することになるのは当然です。
例えば、他州にいる私の友人の話。
彼らはアーティストなので、自分達で保険会社と契約しなくてはなりません。
我が家は会社を通して保険に入っているので、保険料を会社が半分以上負担してくれていますが、彼らは全部自腹です。
また、ある友人の州では、オバマケア以前は何社もあった保険会社が、商売にならないと撤退してしまったのだそうです。
今残っているのは、月に540ドル、940ドル、1350ドルのプランのみ。
(前年の保険料は、400ドル台だったそうです。ひと月に100ドル以上の値上げはキツイ!)
こうなったら、保険会社のやりたい放題よね。
だって、どんなに値上げしたって、顧客には以前のように保険に入らないという選択肢はない(罰金というペナルティがある)んだから。
本当に、低所得者だけのための制度だと思うわ。
我が家は、毎月の支払いは300ドルくらいで、そんなに変わっていません。
でも診察ごとに払う自己負担額(コーペイ Copay)が、2倍に増えました。
前は20ドルだったのが、40ドルです。
1回、4000円と思うと、高いです。
なかなか病院に行こうと思いません。
しかも治療費は…。
そう、アメリカの保険制度は日本と全く違うので、そこからお話しないとなりません。
日本の保険とオバマケアの違いは、どこにあるのでしょう?
オバマケアの問題点
日本なら、どこの病院に行っても、治療を受けることができます。
でもアメリカでは、保険を持っていても、自分が契約している保険会社が契約している医師にしか、かかることができません。
なので、自分の保険会社のネットワークの中から医師を選び、予約します。
アメリカの保険では、ネットワークというのが、とても重要です。
手術の際に執刀してくれた医師はネットワーク内だったが、麻酔師がネットワーク外で、後から法外な額の請求が来た。
そんな笑うに笑えない話がたくさんあります。
また、診察ごとに自己負担額(コーペイ Copay)として一定額(10〜40ドル?)を払います。
この金額は保険契約のプランにより変わります。
それ以上にかかる治療費は、免責金額(ディダクタブル Deductible)まで自腹で、それ以上になると保険適用です。
この金額は保険契約のプランにより変わります。
毎月払う保険料が高いので、安くするために安いプランにすると、免責金額が高くて、いつまでたっても治療費がずっと自腹です。
毎月の支払いを多くしたら、免責金額は減りますが、保険料が高過ぎて生活が出来ないなど…兼ね合いが必要です。
※本当はもっと複雑なのですが、比較のために簡単にしています。
アメリカの保険制度についてもっと詳しく↓
ちなみに今話してきた保険は、眼科と歯科は別です。
眼科と歯科は、それぞれの保険に別に加入しないとなりません。
難病にかかった息子のために家を売ることを考えたというバイデン副大統領。
副大統領ですら、こうです。
保険に入っていても、入院して手術をしたら医療費が高すぎて、自己破産なんてことがある。
これがアメリカの医療制度の現実です。
日本の医療制度は、国家の社会保障制度です。
オバマケアは民間の保険会社です。
民間の保険会社が、損をしないために保険料を上げてくるのは、当然考えられることです。
これが日本とオバマケアの違い、問題点です。
またオバマケアのネットワークから外れる医師が多く、診てもらえる医師が近くにいない問題も出てきています。
これではせっかく保険があっても、病院にすぐに行けません。
日本では考えられないことですが、こういうことが、アメリカでは起こるのです。
オバマケアの代替案は、やはり必須です。
まとめ
オバマケアとは?保険料と問題点を現地よりわかりやすくお届け!、いかがでしたでしょうか。
- オバマケア施行前は、無保険状態の人が4900万人くらいいた
- 施行により、低所得者の加入者が増え、加入しない人には罰金を設けたことにより2900万人にまで減少した
- しかし低所得者は歓迎しているが、中間層の人達は負担が増えたと言っている
- 日本の国民皆保険制度と違い、アメリカは民間の保険会社を頼りにしているため
- 保険料が高騰し、問題も多い
オバマさんは、いろいろ頑張ってくれていたと思うし、好きなんですが、保険制度はやはり難しかったかなあ、と思いました。
日本も財源が足りなくて大変ですが、本当に恵まれた国だと思います。
アメリカだと、健康診断もままなりません。
これって先進国としては、おかしいですよね、絶対に。