アメリカの銃規制は、州によって様々です。
そのため、厳しい州と、緩い州に差があります。
夕方、学校からこんなメールが届きました。
隣町で銃を買った男が、これで子供を撃ちまくってやる、と言ったので、明日は学校をシャットダウンします。
ええええええええー。
この記事では、
- 銃規制が厳しいと言われるカリフォルニア州と7つの銃器法の話
- 銃乱射事件から見る銃規制の厳しい・緩い州
をご紹介します。
銃規制の厳しい州、カリフォルニア
それは、ある日の夕方のことでした。
携帯を見ると、娘の学校長からメールが入っていました。
隣町で銃を買った男が、これで子供を撃ちまくってやる、と言ったので、明日は学校をシャットダウンします。
簡単にいうと、こんな内容でした。
ヒエエエエ〜〜〜〜。
店員が男の言葉を聞いて、直ぐに警察に連絡。
しかし警察が到着した時には、男は店を後にしていて、現在、男の行方を捜索中とのこと。
冗談かもしれないけれど、念のため、学校では警戒するように連絡が入ったそうです。
シャットダウンは休校ではなく、学校はあるけれど、外での活動禁止、授業中は教室に鍵をかけることをいいます。
この辺一帯の小中学校、高校、幼稚園全てが対象です。
なんてハタ迷惑な!
でも万が一のことがあったら、シャレにならないですからね。
カリフォルニア州の銃規制
ここでカリフォルニア州の銃規制について、見てみましょう。
カリフォルニア州は銃規制が厳しいことで有名です。
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | YES | YES |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | YES | YES |
見えるように持ち歩けるか? | 場合によってはYES | 場合によってはYES |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | YES | YES |
待機期間あり?* | YES | YES |
*銃器を購入後、購入者は10日間待ってから、銃を所有することが出来ます。
カリフォルニア州では、銃器を購入する際、銃器安全証明書と居住証が必要です。
そのため、所有者のライセンスが不要になっています。
ふむふむ、待機期間が10日あったということは、子供撃ってやるぞ男は、10日後の受け取り時にそう言ったということでしょうか。
居住証があれば、すぐに見つかりそうですね。
と、いう訳で実際、2日後に、その男は捕まりました。
冗談だった。
…そうですが、精神鑑定で病院へ送られました。
プライバシーの観点から、個人情報は教えてもらえませんでした。
7つの銃器法
カリフォルニア州が銃規制の厳しい州に選ばれる理由。
それは、7つの銃器法を採用している2つの州の内の1つだからです。
その7つとは、
- 赤旗法(Red flag laws)
- 放棄法(Relinquishment laws)
- 攻撃兵器禁止(Assault Weapons Bans)
- 大容量の弾倉禁止(High-capacity Magazine Bans)
- ハイリスク者の銃所持禁止(Gun possession prohibitions for high-risk individuals)
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止(Gun possession prohibitions for individuals with domestic violence convictions)
- バックグラウンドチェック必須(Mandatory background checks)
の7つです。
1つずつ見ていきましょう。
赤旗法(Red flag laws)
警察(や家族)が、自分や人に危害を与える恐れのある人の銃器を没収するよう、法執行機関に要請できる法律です。
放棄法(Relinquishment laws)
(家庭内暴力を犯したなど)銃器を所持する資格を失った者は、警察に銃器を提出しなければならない法律です。
攻撃兵器禁止(Assault Weapons Bans)
攻撃兵器の販売を禁止する法律です。
攻撃兵器(Assault Weapons):
自動または半自動の銃器のことをいいます
自動小銃の殺傷能力の高さは、容易に想像できますね。
ダン、ダン、ダン、ではなく、ダダダダダダダダダダダダダダ、ですから。
大容量の弾倉禁止(High-capacity Magazine Bans)
半自動銃器の弾薬とその他大容量の弾倉の販売を禁止する法律です。
ハイリスク者の銃所持禁止(Gun possession prohibitions for high-risk individuals)
銃器や暴力犯罪で逮捕された人、精神疾患の病歴のある人、薬物やアルコール問題など、裁判所が危険であると判断した人には、銃器の所持を禁止する法律です。
家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止(Gun possession prohibitions for individuals with domestic violence convictions)
家庭内暴力で逮捕された人、家庭内暴力に関することで拘束命令を受けた人、ストーカーで有罪判決を受けた人には、銃器の所持を禁止する法律です。
バックグラウンドチェック必須(Mandatory background checks)
購入時や、許可要求の際、バックグラウンドチェックが必要、という法律です。
これは個人のディーラーや、銃のショーでも同様です。
いかがでしたか?
私は、「赤旗法」と「家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止」が素晴らしいと思いました。
以前に書いた銃規制の賛否両論記事にありましたが、
家庭内での争いで、銃があると、女性が殺害されるリスクは500%増加するそうです。
カッとなった男性が、思わず銃を手に取り…想像できますね。
でもこの2つの法律があれば、命の助かる人がたくさんいると思います。
アメリカ銃規制の賛否両論の意見とは?↓
でも銃規制の厳しいカリフォルニア州。
実は、銃乱射事件発生率が一番高い州でもあるのです。
だからこそ、ここまで厳しくしているのかもしれないですね。
さて、7つの銃器法を採用しているもう1つの州は、コネチカット州です。
銃規制の厳しい州、コネチカット
コネチカット州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | YES | YES |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | 場合によってはYES | 場合によってはYES |
見えるように持ち歩けるか? | NO | YES |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | YES | YES |
待機期間あり?* | YES | YES |
赤旗法あり? | YES | YES |
*銃器を購入後、購入者は10日間待ってから、銃を所有することが出来ます。
銃器や弾薬を購入するためには、許可証が必要です。
申請者は、承認されたセイフティコースを修了することと、証明書の発行前にNICS(犯罪調査システム)のバックグラウンド・チェックとメンタルヘルス・レコードのチェックを通過しなければなりません。
+7つの銃器法です。(ちょっと被ってますが。)
結構、無敵ですね^^
そんなコネティカット州、実は2012年に小学校で銃乱射事件があり、28人が死亡しています。
そんなこともあり、銃規制が厳しくなったのでした…。
それでは、銃乱射事件が出たところで、事件にそって銃規制の緩い州を見てみましょう。
銃規制の緩い州、ネバダ
2017年のラスベガス・ストリップ銃乱射事件の記憶も、まだ生々しいネバダ州です。
ネバダ州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | NO | NO |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | NO | NO |
見えるように持ち歩けるか? | YES | YES |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | YES | YES |
待機期間あり?* | NO | NO |
*2015年6月で、72時間の待機が終了しました。
ゆ、緩いですね、誰でも買えてしまう感じです。
7つの銃器法の内、ネバダ州が採用しているのは、
- ハイリスク者の銃所持禁止
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止
- バックグラウンドチェック必須
の3つだけです。
銃規制の緩い州、フロリダ
これまた、2016年、オーランドのクラブでの銃乱射事件が記憶に新しい、フロリダ州です。
フロリダ州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | NO | NO |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | NO | NO |
見えるように持ち歩けるか? | NO | NO |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | NO | NO |
待機期間あり?* | YES | YES |
*銃器を購入後、購入者は3日間(最大5日間)待ってから、銃を所有することが出来ます。
フロリダも、かなり、緩いですね。
最も銃の規制が甘い州と言われているだけあります。
7つの銃器法の内、ネバダ州が採用しているのは、
- ハイリスク者の銃所持禁止
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止
の2つだけです。
銃規制の緩い州、バージニア
2007年のバージニア工科大学銃乱射事件は、つい最近までワースト1でした。
バージニア州は、全米ライフル協会の本部があるので、銃規制が厳しくし難いようです。
バージニア州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | NO | NO |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | NO | NO |
見えるように持ち歩けるか? | YES | YES |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | NO | NO |
待機期間あり? | NO | NO |
さすが、全米ライフル協会のお膝元!という感じです。
7つの銃器法の内、バージニア州が採用しているのは、
- ハイリスク者の銃所持禁止
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止
の2つだけです。
銃規制の緩い州、テキサス
テキサスも銃乱射事件の多い州です。
- 2017年のサザーランドスプリングス教会
- 1991年のルビーズ・カフェテリア
- 1966年のテキサス大学・オースティン時計塔
特に時計塔は、テキサスタワー乱射事件の名で有名ですね。
テキサス州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | NO | NO |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | NO | NO |
見えるように持ち歩けるか? | YES | 場合によってはYES |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | NO | NO |
待機期間あり? | NO | NO |
テキサス州では、自己防衛のためなら発砲しても合法となっています。
さすがガンマンの州ですね!
この州で規制を厳しくするのは、正直難しいのかなあ、と思います。
7つの銃器法の内、テキサス州が採用しているのは、
- ハイリスク者の銃所持禁止
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止
の2つだけです。
と、ここまで銃乱射事件のあった州をお伝えしてきましたが、実は銃器法が全く採用されていないのに、ほとんど事件のない州が2つあります。
言い換えれば、*まだ起きてない*とも言えるのかもしれませんが…。
銃規制の緩い州、アイダホ
アメリカ北西部のアイダホ州です。
今までに起きた銃乱射事件は、ゼロです。
アイダホ州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | NO | NO |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | NO | NO |
見えるように持ち歩けるか? | YES | YES |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | NO | NO |
7つの銃器法の採用はゼロです。
銃規制の緩い州、モンタナ
アメリカ北西部のアイダホ州の隣です。
銃乱射事件は、2003年死亡者1人、2015年死亡者5人、2017年死亡者3人と、数としては本当に少ないです。
モンタナ州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | NO | NO |
所有者のライセンスが必要か? | NO | NO |
銃器登録が必要か? | NO | NO |
見えるように持ち歩けるか? | YES | YES |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | NO | NO |
7つの銃器法の採用はゼロです。
この2州は、ほとんど事件が起きたことがないため、銃規制が緩いのだと思われます。
では、ここで反対に、銃規制の厳しい州を見てみましょう。
銃規制の厳しい地区、ワシントンDC
首都があるワシントンDC地区は、銃規制が厳しくなっています。
2017年のデータを見ると、銃乱射事件は5件のみ、しかも死亡者ゼロが3件、2件は死亡者1人です。
ワシントンDC地区の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | YES | YES |
所有者のライセンスが必要か? | YES | YES |
銃器登録が必要か? | YES | YES |
見えるように持ち歩けるか? | NO | NO |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | YES | YES |
待機期間あり?* | YES | YES |
*銃器を購入後、購入者は10日間待ってから、銃を所有することが出来ます。
さすが、大使館も多いワシントンDC!
とても厳しいですね。
日本人としては、購入にこれくらいの規制はして欲しいと思います。
7つの銃器法の内、ワシントンDC地区が採用しているのは、
- 攻撃兵器禁止
- 大容量の弾倉禁止
- ハイリスク者の銃所持禁止
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止
- バックグラウンドチェック必須
の5つです、多いですね。
テロを意識していると感じます。
銃規制の厳しい州、イリノイ
全米で最も銃規制の厳しい州と言われています。
2017年のデータを見ると、銃乱射事件は36件と多いですが、死亡者ゼロが半数以上を占め、死亡者も1〜2人です。
シカゴはやはり犯罪が多いようですね。
イリノイ州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | YES | YES |
所有者のライセンスが必要か? | YES | YES |
銃器登録が必要か? | NO | NO |
見えるように持ち歩けるか? | NO | NO |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | YES | YES |
待機期間あり?* | YES | YES |
*銃器を購入後、購入者は72時間待ってから、銃を所有することが出来ます。
イリノイ州で銃器登録が必要ないのは、州警察が発行するFOID(銃器所有者の身分証明書)が無いと、銃の購入も所有も出来ないためです。
このFOIDにより、イリノイ州は銃規制の厳しい州に入っています。
7つの銃器法の内、イリノイ州が採用しているのは、
- 放棄法
- ハイリスク者の銃所持禁止
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止
- バックグラウンドチェック必須
の4つです。
銃規制の厳しい州、ニューヨーク
ニューヨークも厳しい銃規制をしている州です。
2017年のデータを見ると、銃乱射事件は13件、死亡者ゼロが10件、2件は死亡者1人です。
ニューヨーク州の銃規制
ライフルなどの長銃 | 拳銃 | |
---|---|---|
購入に許可が必要か? | NO | YES |
所有者のライセンスが必要か? | NO | YES |
銃器登録が必要か? | NO | YES |
見えるように持ち歩けるか? | NO | NO |
購入の際、バックグラウンドチェックが必要か? | YES | YES |
ニューヨークと言っても広いので、ニューヨーク市内では、長銃・拳銃共に登録が必要で、携帯の許可は下りません。
7つの銃器法の内、ニューヨーク州が採用しているのは、
- 放棄法
- 攻撃兵器禁止
- 大容量の弾倉禁止
- ハイリスク者の銃所持禁止
- 家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止
- バックグラウンドチェック必須
の6つです。
都市部はやはり、多いですね。
参考:
Gun laws in the United States by state
How strictly are guns regulated where you live?
まとめ
アメリカで銃規制の厳しい州と緩い州、銃乱射事件から比較!、いかがでしたでしょうか。
- カリフォルニア州は銃規制が厳しい、7つの銃器法を採用
- 銃器法の7つとは、赤旗法、放棄法、攻撃兵器禁止、大容量の弾倉禁止、ハイリスク者の銃所持禁止、家庭内暴力を犯した者の銃所持禁止、バックグラウンドチェック必須の7つ
- コネチカット州は銃規制が厳しい、7つの銃器法を採用
- ネバダ州は銃規制が緩い、3つの銃器法を採用
- フロリダ州は銃規制が緩い、2つの銃器法を採用
- バージニア州は銃規制が緩い、2つの銃器法を採用
- テキサス州は銃規制が緩い、2つの銃器法を採用
- アイダホ州は銃規制が緩い、銃器法は採用せず
- モンタナ州は銃規制が緩い、銃器法は採用せず
- ワシントンDC地区は銃規制が厳しい、5つの銃器法を採用
- イリノイ州は銃規制が厳しい、4つの銃器法を採用
- ニューヨーク州は銃規制が厳しい、6つの銃器法を採用
でした。
銃乱射事件で銃規制が厳しくなる傾向があるように感じました。
アイダホやモンタナのように、事件さえなければ、ノホホンとしていられる。
それこそ、全米ライフル協会の言うように、
「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」
で良いのでしょうけれどね。
でも実際、銃が無ければ無くさないで済んだ命が多すぎますからね、今のアメリカは。
銃規制、特に銃器法の採用をお願いしたいと思います。