アメリカのシンボルマークと言えば、国鳥であるハクトウワシが翼を広げたイラストの、円形のマークです。
アメリカでは公式に「国章」を定めていないのですが、このマーク↑は事実上の国章として使われています。
パスポート、軍事記章、アメリカ大使館など、様々なところで目にするアメリカを象徴するマークです。
このシンボルマーク、元となっているのは何?
国璽(こくじ)〜国家の表徴として押す印のこと〜、英語ではグレートシール(Great Seal)と言います。
アメリカのシンボルマークは、実はこの国璽のオモテ面と同じ図柄です。
この記事では、
- アメリカの国章にもなっている国璽のデザイン
- アメリカのシンボルと言えばコレ!有名なランドマーク
- 公式・非公式のアメリカのシンボル・象徴8個
と、アメリカのシンボルについて詳しく解説します!
アメリカの事実上の国章となっている国璽
国璽のオモテ面のデザイン=アメリカの国章です。
国璽のオモテ面
アメリカの国璽(グレートシール)は、連邦政府が発行した重要書類を認証するために使われています。
初めて使われたのは、1782年です。
図柄について、1つずつ見ていきます。
盾(シールド)
ハクトウワシが翼を広げ、胴体に重なって盾(シールド)があります。
シールドはアメリカ国旗に似ていますが、青い部分に星はありません。
※アメリカ上院議会の印では、シールドに星があります↓
また縞(しま)は外側が赤ではなく、白です。
アメリカの国旗には専制政治から自由になったことが表されています。
イギリスの支配に抵抗して出来たのがアメリカですから、旗は特に重要なものでした。
星(Stars)と縞(Stripes)で知られる国旗は、アメリカの州が星に、イギリスから独立した13植民地が縞で表現されたものです。
E Pluribus Unum(エ・プルリブス・ウヌム)
ハクトウワシは、ラテン語の「E Pluribus Unum(多数から一つへ)」と書かれた布を咥えています。
「多州から成る一つの国家」という意味で、アメリカ合衆国を表しています。
1956年に公式の標語が決まるまでは、標語として使われていました。
公式の標語は、「In God we trust(我々は神を信じる)」です。
国歌の4番に「In God is our trust」という似たフレーズがあり、「In God we trust」と同じ意味です。
オリーブと矢
ハクトウワシは、向かって右に13本の矢、左にオリーブの枝を足で握っています。
これは「アメリカは平和を好むが、戦争の準備が出来ている」ことを表しています。
13は国旗にもある植民地の数です。
オリーブの枝にも、13枚の葉と13個の実がなっています。
ハクトウワシがオリーブの方に頭を向けているのは、「戦争のない平和な世界を願っている」という意味があります。
頭上の星
ハクトウワシの頭上には、青地に13個の星が描かれています。
これは「栄光」を表しています。
しつこい程に「13」が強調されていましたね。
それほどアメリカにとって、最初の13州が大事、国の始まりの象徴なのだなと思いました。
次にウラ面を見てみましょう。
国璽のウラ面
四角錐の上に目があるという図柄です。
四角錐
中央に未完成の四角錐、ピラミッドがあります。
四角錐は(またもや!)13階建てです。
強さと存続を表しています。
下にある「MDCCLXXVI」はローマ数字で「1776」、アメリカが独立した年です。
目
四角錐の頂点があるはずのところには、三角の目があります。
この目は「プロビデンスの目」と呼ばれ、神の全能の目を表しています。
ラテン語の言葉
下部にある「Novus ordo seclorum(ノヴス・オルド・セクロールム)」はラテン語で、「時代の新しい秩序」という意味です。
上部もラテン語で「Annuit cœptis(アンヌイト・コエプティス)」、「神は我々の取り組みを支持した」という意味です。
プロビデンスの目と合わせ、アメリカは神に支持されていることを表しています。
国璽のウラ面は印として使われたことはありませんが、1ドル札の裏面でオモテ面と一緒に見ることができます。
オモテ面には主にアメリカの大切な歴史が、ウラ面にはアメリカの思いが込められていますね
さて、アメリカのシンボルと言えば、有名な建築物を思い出される方も多いと思います。
こちらにもアメリカの歴史が詰まっています。
アメリカのランドマーク
これぞアメリカ、という記念碑や建物、6つをご紹介します。
- ホワイトハウス
- リンカーン記念館
- ワシントン記念塔
- 自由の鐘
- ラッシュモア山の彫像
- 自由の女神像
1つずつ見ていきます。
ホワイトハウス
アメリカの首都、ワシントンDCの中心部にあるホワイトハウスには、アメリカ大統領が居住し、執務を行っています。
初代ジョージ・ワシントン大統領の時代に建設されましたが、1800年の完成時には亡くなっていたので、2代目ジョン・アダムズ大統領から利用されるようになりました。
1814年にイギリス軍に焼き討ちされ、残ったのは外壁だけ。
しかし1817年に再建し、その際に焼け焦げた壁を白く塗ったことから、ホワイトハウスと呼ばれるようになりました。
リンカーン記念館
リンカーン記念館もワシントンDCにあります。
1922年に完成、ギリシャの神殿の形をした建物の中に、約6メートルのリンカーンの坐像が置かれています。
リンカーンが行ったいちばん有名な、ゲティスバーグ演説も内壁に彫られています。
また1963年には、マーティン・ルーサー・キングによる有名な「I Have a Dream」の演説が行われました。
ワシントン記念塔
これもワシントンDCの中心部にある、巨大な白いオベリスクです。
1776年の独立戦争で、戦いを勝利に導いたジョージ・ワシントンの功績を讃えるために建造されました。
1848年から建設が始まり、完成したのは1885年でした。
中に入ると展望台がありますが、修理のためにたびたび一般公開が中止されています。
自由の鐘
ペンシルベニア州フィラデルフィアのリバティ・ベルセンターにあり、奴隷廃止主義運動の象徴、自由の象徴です。
議事堂で使うために鋳造され、1753年に公開、しかし鐘を鳴らした一発目でヒビが入ってしまいました。
その後、何度か修復、亀裂を繰り返し、現在でもご覧のようにヒビは入ったままです。
ラッシュモア山の彫像
ラッシュモア山の彫像は、サウスダコタ州キーストーンという町にあります。
1927年から1941年まで、14年間もかけて彫られた巨大彫像です。
彫られているのは、左からジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーンの4大統領です。
自由の女神像
自由の女神像はニューヨーク港内、リバティ島にあります。
アメリカの独立100周年を記念して、フランス人の募金で1886年に完成しました。
移民にとっての新天地、アメリカの象徴です。
中に入ると、王冠部分に展望台があります。
1984年には世界遺産に登録されました。
アメリカのシンボルは、他にも公式・非公式といろいろあります。
最後に動物などアメリカを連想させるものをご紹介します。
その他のアメリカのシンボル
上4つは公式、下4つは非公式のシンボルです。
- 国鳥:ハクトウワシ
- 国獣:アメリカバイソン
- 国花:バラ
- 国樹:オーク
- アップルパイ
- アンクル・サム
- ロージー・ザ・リベッター
- スモーキー・ベア
どれもアメリカで愛され、大切にされているものばかりです。
国鳥:ハクトウワシ
国璽にも描かれているハクトウワシがアメリカの国鳥です。
北アメリカの沿岸部に生息しています。
ネイティブアメリカンも、ハクトウワシは聖なる生き物としていました。
国獣:アメリカバイソン
国獣に選ばれたのは、アメリカバイソン、別名アメリカヤギュウです。
イエローストーン国立公園とウッド・バッファロー国立公園以外では、野生はかなり少なくなっています。
ネイティブアメリカンは食料としていました。
国花:バラ
アメリカの国花はバラです。
アメリカでは長いこと国花が無く、決まったのは1985年と比較的最近です。
州にも州花がありますが、バラは州花にも多く選ばれています。
またバラは、50州全てで栽培されています。
国樹:オーク
アメリカの国樹はオーク、日本名は楢(ナラ)です。
北半球に広く分布し、木材、コルクなど幅広く利用されています。
ヨーロッパでも多くの国が国樹に指定しています。
アメリカでも州の樹木に選んでいるところは多く、たくさんの人に愛されている樹木です。
アップルパイ
「アップルパイのようにアメリカ的だ (As American as apple pie) 」という慣用句もあり、アメリカを代表するデザートです。
17世紀から18世紀の間に、移民によって植民地に持ち込まれたと言われています。
1970年代には愛国心を利用した「野球、ホットドッグ、アップルパイ、シボレー」というCMのフレーズがありました。
アンクル・サム
アメリカ合衆国政府を擬人化したキャラクターで、頭文字はUnited Statesと同じUSです。
モデルとなったのは、ニューヨーク州トロイの精肉業者、サミュエル・ウィルソン。
(1961年には議会で起源として讃える決議も採択されています。)
アンクル・サムというあだ名だったサミュエルは、肉の樽に『US(United States)』の焼き印を押す仕事をしていました。
それを「アンクル・サムの略だ」と冗談を言っていたことから、US=アンクル・サムとなりました。
ロージー・ザ・リベッター
ロージー・ザ・リベッター(リベット打ちのロージー)は、工場で働く女性全般を表しています。
※リベットはネジの一種。
フェミニズムと女性の経済的自立のシンボルです。
「We Can Do It!」のポスターは、実はロージー・ザ・リベッターとは関係がなく、1943年にある会社で社員のやる気を向上させるために作られたものでした。
しかし1980年代に入り、ファミニズム運動と結びついて有名になり、ロージー・ザ・リベッターと呼ばれるようになりました。
スモーキー・ベア
スモーキー・ベアは、1944年に山火事の危険性を広めるために作られたキャラクターです。
児童書、縫いぐるみ、オモチャもあり、アメリカで95%の認知度があると言われています。
また実際に山火事で生き残ったクマがスモーキー・ベアと呼ばれ、生きているシンボルとして動物園で人気だったこともあります。
(一世、子孫の二世がいました。)
参考:Understanding the Meaning & History of American Symbols
National symbols of the United States
List of American Symbols
まとめ
アメリカのシンボルマーク!歴史と思いがギュッと込められていた!、いかがでしたでしょうか。
- 国璽のオモテ面のデザイン=アメリカの国章(公式には定められていないが、事実上)
- 国璽のオモテ面には国鳥のハクトウワシ、国旗と似た盾、前の標語「E Pluribus Unum(多数から一つへ)」と書かれた布、13の矢とオリーブ、頭上に13の星などが描かれている
- 国璽のウラ面には未完成の四角錐、プロビデンスの目、ラテン語で「Novus ordo seclorum(時代の新しい秩序)」「Annuit cœptis(神は我々の取り組みを支持した)」などが描かれている
- アメリカのランドマーク
- ホワイトハウス
- リンカーン記念館
- ワシントン記念塔
- 自由の鐘
- ラッシュモア山の彫像
- 自由の女神像
- その他のシンボル
- 国鳥ハクトウワシ
- 国獣アメリカバイソン
- 国家バラ
- 国獣オーク
- アップルパイ
- アンクル・サム
- ロージー・ザ・リベッター
- スモーキー・ベア
をご紹介しました。
皆さんの思うアメリカのシンボル、18選の中に入っていたでしょうか?
私の中でアメリカの象徴・シンボルは、リンカーン記念館です。
本か映像で見て、ここに行ってみたい!と憧れを抱き、単独渡米したのが大学生の夏休みでした。
行って、その大きさに圧倒されました。
アメリカに来たぞー!と思いましたね。
その頃は、まさか人生の半分近く住むことになるとは、思いませんでしたねえ^^: