国花とは、国民に最も愛され、その国の象徴となる花のことを言います。
日本の国花は桜と菊よね。
アメリカは何かしら?
実は割と最近まで、アメリカには国花がありませんでした。
というのも、州それぞれに「州花」があって、国花の必然性があまり無かったからです。
でも決まるまでには、いろいろあったようですよ。
この記事では、
- ハナミズキは国花じゃないの?
- 国花決定!理由は?
- 国花候補だった花とは?
をご紹介します。
ハナミズキはアメリカの国花?
ハナミズキはアメリカ原産の花です。
アメリカの東海岸(メイン州からフロリダ北部)とミシシッピ川の西部にかけて自生しています。
桜のように葉が出る前に花が咲き、花期は4月下旬から5月上旬です。
ハナミズキがアメリカの国花である、という話がよくありますが、アメリカの国花はハナミズキではありません。
おそらく、1912年(明治45年)に日本から桜を贈ったお返しに、1915年(大正4年)に日本へ贈られた花がハナミズキだったため、こういう誤解が生じたのだと思います。
桜とハナミズキの交換の話は、1981年に教科書に載ったほど有名なお話です。
日本における植栽は、明治時代末期の1912年に当時の東京市長であった尾崎行雄が、アメリカ合衆国ワシントンD.C.へサクラ(ソメイヨシノ)を贈った際、大正時代初期の1915年にその返礼としてワシントン市から東京市に贈呈されたのが始まりである。贈られたハナミズキは全部で60本で、うち白花の苗木が40本、ピンク花の苗木が20本で、日比谷公園、小石川植物園などに植えられた。
ハナミズキ Wikipedia
アメリカに贈られた桜は、ワシントンのポトマック河畔に植えられ、今でも毎年、全米桜祭りが行われる名所になっています。
一方、日本に贈られたハナミズキは、第二次世界大戦中にほとんどが伐採され、原木はほとんど残っていません。
それでも、広島ではこの話にならい、ハナミズキ並木作りをするなど、日本では日米友好の象徴となる花となっています。
ではアメリカの国花は?
国花に選ばれたのはバラ
1986年11月20日、ロナルド・レーガン大統領は
バラをアメリカの国花とする
と宣言しました。
アメリカでは州それぞれに州花がありますが、バラはアメリカ全体を表すシンボルに選ばれました。
レーガン大統領の宣言
1985年、アメリカ合衆国上院は大統領にバラを国花として宣言するよう求める決議を可決しました。
1986年11月20日、ロナルド・レーガン大統領がホワイトハウスのローズガーデンでの式典で、バラを認定する宣言5574に署名しました。
以下、抜粋です。
バラはどの花よりも命、愛、献身、美しさと永遠の象徴としてふさわしい花です。
化石の研究では、バラがアメリカにずっと存在していたことを明らかにしました。私達はいつも庭でバラを栽培してきました。
初代大統領ジョージ・ワシントンはバラを育て、彼の母親にちなんで名付けられた品種は今日でも健在です。
ホワイトハウスにも美しいバラ園があります。
50州全ての州でバラは栽培されています。
お祝いやパレードにバラを飾ります。
愛する人にバラを贈り、祭壇、聖堂、栄誉ある死者の最後の休息場所にも惜しみなくバラを飾ります。
アメリカの人々は長い間、心の特別な場所にバラを置いてきました。
これからもバラを愛し、バラが象徴する愛と献身に敬意を払い、神がバラを与えて下さったように愛するものにバラを捧げます。
1986年10月7日、上院議会はバラを国花とする宣言を発行するよう大統領に要求しました。
そのため、私、ロナルド・レーガン、アメリカ合衆国大統領は、ここにアメリカ合衆国の国花・花の紋章としてバラを宣言します。
宣言に出てきたジョージ・ワシントンとホワイトハウスのバラ、10月7日について、少し補足しますね。
初代大統領ジョージ・ワシントンとバラ
ジョージ・ワシントンは初期のバラ育種家(植物の品種改良をする人)のひとりでした。
家には何百もの低木があり、バラを育てる能力は子供時代からと言われています。
亡くなった母親の名にちなんで付けられたバラは、メアリーワシントンと言います。
↓アメリカの植物に関するサイトで写真を見ることができます。
夏に咲く繊細な白バラです。
ホワイトハウスとバラ
ホワイトハウスのローズガーデンは、1913年に始まりました。
ファーストレディのエレン・ウィルソン(第28代アメリカ合衆国大統領ウッドロウ・ウィルソンの妻)が柱廊に繋がる庭にバラを植えたのがきっかけです。
今は大統領のレセプションエリアとして使われていますが、レセプション用に再設計されたのはケネディ政権時代です。
天気が良ければ、大統領法案の署名、記者会見、外交レセプションと幅広く使われています。
10月7日は国花の日
毎年10月7日は、ナショナルフラワーデイ、国花の日です。
宣言した11月20日ではなく、上院議会が宣言を発行するよう要求した日です。
バラに決まるキッカケとなった日を祝おう、ということでしょうか。
この日は、バラを植えたり、バラを贈ったり、バラ園を訪問したり、バラを使った料理をしてお祝いします。
バラを料理に?
そもそもバラとはどんな花なのでしょう?
バラとはどういう花?
バラはバラ科バラ属の総称です。
とても美しい花で、約3500年前から存在しています。
北半球の温帯域に広く自生し、南半球には自生しません。
代表的な色は、赤、白、黄、ピンク、香りも驚くほどに豊かです。
花びらと実(ローズヒップ)は食用にもなり、古代から薬としても使われてきました。
バラは神話や詩によく登場し、重要な役割を果たしています。
大切な花として皆に愛され、花言葉も豊富です。
アメリカの花言葉 | 日本の花言葉 | |
---|---|---|
バラ (赤) | 愛(Love) 尊敬(Respect) | 熱烈な恋 あなたを愛しています |
バラ (黄) | 喜び(Joy) 友情(Friendship) | 嫉妬 友情 |
バラ (白) | 純潔と秘密 (Innocence and Secrecy) | 純潔 深い尊敬 |
バラ (ピンク) | 気品(Grace) 喜び(Joy) | しとやか 上品 愛の誓い |
花言葉についてもっと詳しく↓
しかし実はバラ以外にも、国花候補の花がありました。
次はその花のお話です。
国花候補だったマリーゴールド
マリーゴールドがアメリカの国花候補だった花です。
サポート団体があり、支持者のひとりだったエヴァレット・ダークセン(元アメリカ合衆国上院議員)は、1967年にこんな提案をしました。
ミスター・プレジデント:
1965年1月8日、私はアメリカ自生のマリーゴールドをアメリカの国花とすることを提案します。
- アメリカの国旗は色、縞、星の単なる集合体ではありません。
私たちの起源、発展、成長を象徴しています。 - 天空の王であるハクトウワシは、私たちの力を忠実に表現しています。
- 国花は、私たちの土地の美徳、国の性格を表すものでなければなりません。
- マリーゴールドは北米原産であり、実際にアメリカの花と呼ばれることがあります。
- 50州のすべてに自生し繁栄している、この国の象徴です。
- マリーゴールドはどんな気候にも適応し、夏の日差しにも夜の寒さにも耐えます。
- その頑強さは、この土地に偉大な国を建設した先代の困難と性格を反映しています。
- 水仙のように陽気、バラのようにカラフル、ジニアのように毅然として、カーネーションのように繊細、菊のように高慢で、ペチュニアのように攻撃的、スミレのように遍在し、キンギョソウのように威厳があります。
アメリカ原産で、世界のどこにも存在せず、全ての州に共通している花。
アメリカ自生のマリーゴールドを、私たちの国の国家に指定するよう提案します。
熱のこもった提案ですね^^
書かれている理由も納得、素晴らしいと思いました。
しかし国花に関する議論は1980年代後半まで保留にされ、結果、選ばれたのはバラでした。
ちなみにバラを国花にしている国は、
- イラク(赤いバラ)
- イラン(黄色いつる性のバラ)
- オマーン(赤いバラ)
- キルギス(バラ)
- サウジアラビア(バラ)
- アルジェリア(バラ)
- モロッコ(バラ)
- モルディブ(フィニフェンマー[バラ])
- イングランド(テューダー・ローズ)
- イギリス連合王国(バラ)
- ブルガリア(バラ)
- ルクセンブルク(バラ)
- セントルシア(バラ)
- エクアドル(バラ)
と、アメリカの他に14か国もあります。
一方、マリーゴールドは、国花の決まっていないアラブ首長国連邦で候補に上がっている以外、国花にしている国はありません。
個人的には、マリーゴールドの方がオリジナル性が高くて良かったような気もします^^;
国花だけでなく、州花でもバラは人気です。
50ある州で、州花がバラなのは、
- ニューヨーク(バラ)
- オクラホマ(オクラホマローズ)
- ジョージア(ナニワイバラ)
- アイオワ(ロサ・アルカンサーナ)
- ノースダコタ(ロサ・アルカンサーナ)
- コロンビア特別区(アメリカンビューティーローズ)
と6つあります。(コロンビア特別区は、正確には州には属さない連邦政府直轄地です。 )
州花についてもっと詳しく↓
これだけ人気のバラですから、まあ、国花に選ばれたのも納得ですね。
参考:The Rose
What Is The National Flower Of The USA?
まとめ
アメリカの国花はハナミズキじゃない!候補だった花や決まった理由も、いかがでしたでしょうか。
- ハナミズキは国花ではないが、日本と桜を交換した際に贈られた、日米友好の象徴となる花
- バラは1986年11月20日、ロナルド・レーガン大統領により国花と宣言された
- ホワイトハウスにはバラ園があり、レセプションエリアとして使われている
- 初代大統領ジョージ・ワシントンもバラを愛し、新種に母親の名を付けている
- アメリカ人にとってバラは特別な花である
- 国花候補には、マリーゴールドもあった
- 理由もしっかりしたものだったが、バラには勝てなかった
- バラは他国でも国花、アメリカでは州花にも多く選ばれている
でした。
私もバラは大好きです^^
一時期は、ローズティーに嵌っていました。
甘い香りにウットリしちゃうんですよね。
恋人に贈るなら、やはりバラ!
ゴージャスだし、見栄えも最高。
でもマリーゴールド、アメリカの国花に適していたのでは?と、今回調べていて思いました。
バラには敵わないな〜、という感じです^^;;